始まり
- チップ
- 2020年2月16日
- 読了時間: 2分
1990年某日、朝のオフィスに電話が鳴る。
「もしも」と私。この頃「もしもし」を何故かこういう人が多かった。ほとんど略の意味はないがたまに真似する。
「おはようございます、××です」ある証券会社の担当セールスマン。馴染みの相手である。「吉村さん、1234(銘柄コード)の○○なんですけど、(中略)、取材はまだですけどこの材料は上がりそうですよ」
「良いね、板は?」
「641円買い、42円ヤリ、41円12000、40円5000、、、売り42円3000、47円2000、(中略)660円に25000あります」
「薄いなー、じゃとりあえず660まで5万買い上がってあと649OBで合計10万かな」
「了解です。あとこれ大阪もあるんで一応板聞いて折り返しますね」
「よろしくー。あ、ファンドの配分は引け後ね」
そしてその後、キュートな形のビデオⅠにその銘柄を表示。提供されるのは株価と前日比と出来高のみで、これが当時の先端情報端末。板は証券会社でなければ見られないから読んでもらう。そして株価更新ボタンを連打する。そうしないと何も更新してくれない。叩きすぎで腱鞘炎になるFMもいた。
今では考えられないほどローテクで、コンプラだのコンサルだのインプリだのという概念は影も形もなく、「決算説明会?へえ、そんなことやる会社あるんだ」とその頃出始めた「アナリスト」という人種から聞かされて感心する時代。苦しい時もあったけれど、「今日はあの銘柄どれだけ上がるか?早く会社に行きたい!」と思うこともある、恵まれた仕事。
ノスタルジーに耽るのは好きだけど、その環境に戻ることは出来ない。しかしその当時のピュアな気持ちに戻って運用していくことは出来ないか。
その思いを秘め30年が経過した今、始めます。
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