ディナーショー
- チップ

- 2025年1月1日
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年末は多くのタレントがディナーショーを催しているようだ。私も行ってみた。ランちゃん、伊藤蘭のディナーショーである。
大して歌手活動してない彼女の集客力は如何かと思ったが、ニューオータニの多分最も大きな広間であろう会場は無数のテーブルが配備され、我々の番号は634であった。さすがに1から始まっているとは思えなかったが、それでも1000人位は収容していただろう。客層は、、シニア男性のシェアが高い。言うのも恥ずかしいが自分が若手の部類と思えた程だ。鈍色のジャケットにネクタイといった地味目の装いが目立つ。
先ずは普通に食事から。大人数の割には皆さん静かめに食べている。夫婦らしき両隣のテーブルからもほとんど会話は聞こえてこない。不足なく配置された給仕係から、コース料理に切れ目なくアルコール各種が振る舞われており、我々などはすぐに浮かれ気分になったのだが。大人のディナーショーとはこんな感じなのか。
食事も終わり、いよいよショーの開演。
その前に、私は某首相と同じく昔はキャンディーズのファンであり、ファンクラブにも入っていた。初めて行ったコンサートは日生劇場。中2男子がたった一人で乗り込み、訳も分からず投げた紙テープが塊のまま前方のお客さんを直撃した。後楽園球場の解散コンサートにも行った。この時は友達同伴だったが、盛り上がりまくる周りのお兄さん達から「お前らも立てよ!」と叱咤されて椅子の上に立たされて応援した。良い思い出だ。
さて会場に大音響が流れ始め、満を持してランちゃん登場。すると周囲に驚愕の変化が起こった。何と今までひっそりと食事をしていたそこここのシニア男たちが、何やら怪しく光る熊手のようなものを取り出し振り始めたのだ。中にはいつの間にか法被を着て、ハチマキをしている人もいる。戸惑う我々を尻目に、会場は曲に合わせて「ランちゃーん!!」のかけ声、光る熊手の振り付けが予定調和のように繰り広げられる。そう、ここでも自分はあの中2の時と同じように、周りのお兄さん(お爺さん)に圧倒される小さな存在のままだった。
出だしから知らない曲が続く。そらそうよ、ランちゃんが還暦過ぎて新曲出していたことなんて知らない。トークも「今日も来てくれてありがとう!」を前提にしたものが中心で、一見さんへの説明はない。何故か急にチーママ口調になったランちゃんが前方のお客さんと掛け合いする光景は、まるで常連で賑わうスナックに迷い込んだみたいだ。
5-6曲が過ぎ「もしやキャンディーズの曲はやらないのか?!」と疑念が湧き始め、「このままなら帰ろうか」とも思い始めた矢先、着替えたランちゃんが「危ない土曜日」を歌い始めた。
ようやくキャンディーズコーナーが始まったのだ。「やさしい悪魔」「哀愁のシンフォニー」「年下の男の子」「春一番」、、お馴染みの曲を堪能出来た。スーちゃんは星になり、ミキちゃんは引退しているのだが、若手の歌って踊れる女性二人がバックにつくことでキャンディーズのテイは保たれていた。遠目なのでランちゃんの顔は良く見えないけれど、歌い踊るフォルムは変わらないし、特別上手という訳ではないが艶のある声質が全く衰えていなかったのは驚きだった。
それにしても1時間半のライブ中、シニア男たちの熱量は衰えることがなかった。開演前「コンサート中に大声を出したり、前方に移動するのはおやめ下さい」と何度もアナウンスされていた理由がやっとわかった(ランちゃんも「一緒に歌って!」とか煽っていたので、結局は建前だけのものだが)。聞けばグッズ売り場は多分にシニア層を意識した作りになっており、ネクタイや光る熊手などもその代表のようだ。前方の席にそうしたグッズの装着率が高い人が多いのは、「抽選」とはいうもののショーチケットの配分とグッズ購入額に何らかの相関を感じずにはいられない。推し産業の実態を垣間見た気がした。
ランちゃん側からしても、多分キャンディーズ時代はその忙しさに見合う報酬が得られず、それが還暦を過ぎた今こうした形で収入を得ているさまは、まるで給料の後払いと言われる年金を受給している感覚かもしれない。「ランちゃん可愛いー!」などというかけ声も発する側の開放感と、「私、まだイケる」という受け止め側の幸福感を生み出すウインウインのミラクルワードかもしれない。
終わってみればまあ楽しめたとは言えるが、今のところ「次は熊手を買って声だすぞ!」という気分にはならない。次はさだまさしのディナーショーに行きたい。谷村新司は行っておいて本当に良かったので(合掌)

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